2009年07月10日

クルーグマン教授の経済入門/ポール・クルーグマン 山形浩生 訳

クルーグマン教授の経済入門 (ちくま学芸文庫)

建築→都市→経済と、自分の興味はこのかた展開されてきてて、
「経済学」じゃなくて「経済」のなんか面白い本はないかと思って読んでみた。
クルーグマンの明快で潔い論理と、口語でガンガンとばす日本語訳が独特で面白い本。

経済入門というよりは90年代を迎えるアメリカ経済に向けて、みたいな内容。
でも今読んでもすごく刺激的。ここで描かれてる未来のシナリオもあながち外れていない。

経済で最も大事なことは「生産性」と「所得分配」と「失業率」の3つだけらしい。
その中でも「生産性」がほぼ全てらしい。これが一番勉強になったこと。
「でもなぜ生産性が変動するのか実は誰もまだわかっていないのです」と言い切ってるのがすごい。

じゃぁその生産性って何?何でそんなに大事なの?ってことが今後の興味になりそう。

S&L問題とか、市場経済に任せっぱなしじゃよくないことも起こるのは当然だよ、
そういう視点があるのが個人的には嬉しい。まともな政策ってものはもちろん大事。
経済はどこまでコントロールできるものなのか、するべきものなのか、これも気になるところ。

とにかく…読んでよかった!オススメ!
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2009年07月05日

スウェーデンの街と住まい/山本明

スウェーデンの街と住まい (建築探訪)
スウェーデンの街と住まい (建築探訪)

北欧予習本。旧市街、各地の民家、集合住宅などへの訪問記。
薄っぺらい本だけど写真が多くて楽しい。旅行ガイド本と建築専門書との中間のような。

エーランド、ゴットランド、スコーネ、ダーラナなど、
各地方の民家に関する内容が多彩。一昔前までは農業国だったんだなぁ。

ストックホルム、ヴィズビィ、マルメ、ヘルシンボリ、さらにはヘルシンキ、
中世の面影を残す都市達。雰囲気を妄想するだけで面白い。

コレクティブ住宅、ドゥイットユアセルフ住宅についてはもっと詳しいことが知りたくなった。
とりあえずスカンセンとセウラサーリ野外博物館は行ってみたいなぁ。

関連記事「スウェーデンの挑戦/岡沢憲芙
      「北欧デザインを知る―ムーミンとモダニズム/渡部千春
      「フィンランド豊かさのメソッド/堀内都喜子
      「ストックホルムの建築 (建築巡礼)/小川信子 外山義
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2009年07月01日

TVピープル/村上春樹

TVピープル (文春文庫)

いつか古本屋で100円で買ったのを読んだ。90年の短編集。

『TVピープル』はなんとなく、昔の村上春樹だなぁという感想。
お決まりの「僕」とお決まりの微妙に奇妙な世界。今読むと定番すぎてちょっとつまらん。

後半になるにつれて引き込まれていった。話の中心にあるのは混乱か。
『加納クレタ』『ゾンビ』『眠り』は今読んでも存分にオリジナリティがあるように思えた。

「混乱した時代になると、僕の作品はよく読まれるようになるのです」とか、
「小説とは混乱を別の形の混乱におきかえるもの」とか作者自信の言葉を思い返すものがあったり。
「ピープル」という響きにも「混乱」や「惑う」といった意味を連想させるものが何かある気が。

…最近の世の中ってそんなに混乱が似合うのかなぁ。

関連記事「1Q84/村上春樹
      「ノルウェイの森/村上春樹
      「夜のくもざる/村上春樹
      「1973年のピンボール/村上春樹
      「アフターダーク/村上春樹」      
      「羊をめぐる冒険/村上春樹
      「走ることについて語るときに僕の語ること/村上春樹
      「国境の南、太陽の西/村上春樹
      「村上かるた うさぎおいしーフランス人/村上春樹
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2009年06月29日

4,5,6月に行った展覧会

ちょいちょい行ってたけど書いてなかったものをまとめて復習。

4月、
・特別展 棟方志功/日本民藝館
民藝というものの魅力は自分にとってなかなか難しい。
この皿いいよね〜って言われてもあんまりピンとこない。日本的な要素に馴染みすぎてて。
棟方志功の版画も力強いと思うけど、何がすごくてどう民藝的なのか、疑問は深まった。

5月、
・富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館
群馬旅行のとき入った。面白そうな建築だったので。設計は柳澤孝彦/TAK建築。
福沢一郎という人の絵をいろいろ見た。シュルレアリスムを日本へいち早く紹介した人らしい。
建築は豪華なんだけど、客はがらがら。施設としても建築としてもオーバースペック感が否めない。

・富弘美術館
これも群馬旅行のときの。建築的にはヨコミゾマコトが勝ったコンペで有名。
意外と普通な建物だった。空から見ると面白いのかもしれないけど、普通に見える外観は地味。
でも星野富弘さんの絵は見れてよかった。辺鄙なところにあるのに人もたくさん入ってる。
運営、設計面で村側と建築家側とでいろいろもめてたりするらしいのも興味深い。

・クライン・ダイサム・アーキテクツ展/ギャラリー間
日本で活躍してる建築家クラインさんとダイサムさんの展覧会。
ガラスの立方体にレーザーを当てて作る3D彫刻による模型がかっこよすぎた。
まぁこれは全くもって実際の建築のかっこよさじゃないけど。

・日本初上陸-大恐竜展-知られざる南半球の支配者/国立科学博物館
寮の合ハイってことで入った。恐竜ってやっぱりなんかロマンがあるなぁ。
こういうでかい奴が昔はうようよいたのかぁと想像するだけで楽しい。
マプサウルス、覚えておこう。こんなの覚えても何にもならないのに…ってところがまた楽しい。

・所蔵作品展/はけの森美術館
中村研一さんという日本の洋画家を記念して作られた小さな美術館。
寮から教習所へ行く途中にあったので入ってみる。「はけ」とは崖線のこと。
婦人像からはなんとなく昭和の女性だなぁ〜という印象を受けた。

・ウィリアム・メレル・ヴォーリズ 恵みの居場所をつくる/汐留ミュージアム
近代日本で活躍した建築家ヴォーリズさんの展覧会。
恵みの居場所…というより「あったかいところ」というか、
昔の日本人にもうける庶民的な魅力があったのかなぁという気がした。


6月、
・わたしの句読点/たばこと塩の博物館
しょっちゅう渋谷に行ってる割には入ったことがなかったところ。
あぁこのイラストはあの人だったのかと、イラストレーター業界の勉強になった。
リニューアルして作った1階のオープンカフェはいつも満員ですなぁ。

・没後80年 岸田劉生−肖像画をこえて−/損保ジャパン美術館
新宿で暇な時間ができたのでふらっと行ってみた。ここのビルも一回入ってみたかったし。
とにかく肖像画ばっかり展示されてた。麗子ちゃんも本当は可愛かったってことを知る。

・奇想の王国 だまし絵展/Bunkamuraミュージアム
トロンプルイユ、だまし絵的な浮世絵、マグリット、ダリ、エッシャー、現代、
視覚的なトリックから心理的なダブルイメージまでと、思ったよりいろいろ楽しめた。
そういえば2年前に諸橋近代美術館でダリを見たっけと思いだした。
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2009年06月26日

スウェーデンの挑戦/岡沢憲芙

スウェーデンの挑戦 (岩波新書)
スウェーデンの挑戦 (岩波新書)

北欧予習本3冊目。吉祥寺図書館で借りてみた。91年の本。
スウェーデンの20世紀の政治史と社会史を割と詳しく整理した本。

遅れてきた工業化、豊富な天然資源と質の高い労働力を背景とした急速な追いあげ、
中立を守りぬくことによって戦時中においても潤った経済、
全国労働組織と最大与党・社民党による安定した政治システムの確立、
黄金の60年代、悩める70年代、今後スウェーデンモデルはどこへ行くのかー

…と何やらいろいろと難しいことが書いてありました。

この社民党の長期政権が、国の安定の舵取りをしてきたっぽい。
社民党といってもイデオロギー的な社会主義なわけではない。

「所得と個人の富の配分を規制する法案には力を注ぐが、
配分の不公平を生みだす根本的原因には手をつけない」らしい。

挑戦的な政策もどんどんやっていく。外国人に選挙権を認めたり、
新聞社に公庫から補助したり、原発廃棄を決定したり。
他国はスウェーデンに学んだり批判したりすることができるけど、
スウェーデンはどこからも学べない、常に福祉国家の実験場なんだ、とも言われたり。

高負担・高福祉は働く意欲をなくすっていうけど、そこをどううまくやるかが考えるべきことな気が。
実際、スウェーデン企業の国際競争力はいまも高いっぽいしねぇ。

経済も福祉もよく回ってるんだったら、やっぱりそれはかなり羨ましい話。

関連記事「北欧デザインを知る―ムーミンとモダニズム/渡部千春
      「フィンランド豊かさのメソッド/堀内都喜子
      「ストックホルムの建築 (建築巡礼)/小川信子 外山義
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北欧デザインを知る―ムーミンとモダニズム/渡部千春

北欧デザインを知る―ムーミンとモダニズム (生活人新書)
北欧デザインを知る―ムーミンとモダニズム (生活人新書)

北欧予習本2冊目。吉祥寺図書館で借りた。
北欧デザインの入門書的な。タイトルの割にムーミンについての部分は少ない。

・アルネ・ヤコブセンがデザインし、フリッツハンセンから生産されてるアントチェア、セブンチェア、
・アウヴァ・アアルトのスツール60、(パクリ的商品が確か家にもあったなぁ)
・ノキア、エリクソン、エレクトロラックス、B&Oなどの電子機器・家電メーカー、
・レゴブロック!(子供のとき遊びまくった。今思えば確かに北欧的な色彩)
・日本でも大人気なイケア…自分はまだ行ったことないけど><
・スカンジナビア航空の企業デザインとデザインコンサルタントの存在、

などなど、楽しい話がいろいろとありました。
まぁ基本は使い続けられる、いいものを作るってことか。

思うに、北欧デザインに登場する原色感の強いアースカラーは、
冬は白一色の世界に閉じ込められる地域だからこそ生み出されたものなのではって気がする。

それで一応自分も雪国生まれってことで、勝手に親近感を沸かせてみたりしているのです。
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フィンランド豊かさのメソッド/堀内都喜子

フィンランド豊かさのメソッド (集英社新書 (0453))

北欧予習本1冊目。書店でさーっと読んだ。
フィンランドに留学した筆者の生活体験談みたいな。

学校教育とか、国民性とか、いろいろ面白いエピドードが書いてあった気がするけど、
いまいち内容が頭に残らなかった。建設的なメソッドが提案・指摘されているわけでもない。

高い離婚率とか、結婚しない同棲夫婦とか、そういうのが悪いものじゃないのかどうか、
個人的には気になった(保守的な日本人気質?)。家族内の一人一人の独立性とかも。

少人数のきめ細かい学校教育はいいなぁー、と思うけど、
実際日本全体ではなかなかやれなそうな気もする。

全体的に北欧の話を読んでると、日本の人口は無駄に多いのでは、と思えてしまう…
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2009年06月17日

行動主義―レム・コールハースドキュメント/瀧口範子

行動主義―レム・コールハースドキュメント

コールハースへのかねてからの興味が飽和しかけた最近、
満を持して読んでみた。案の定、面白すぎる。興味の空き容量はまた増大。

日本人ライターが建築家レム・コールハースの追っかけ取材をした本。
コールハースとその周囲の人間たちの仕事・スピード感を覗いた気分になれる。

レム・コールハース。1944年アムステルダム生まれ。
現代において最も影響力のある建築家であり思想家であり挑戦者、らしい。

常に世界を飛び回り、あらゆる人間とハイテンションなミーティングをこなし、
膨大な知識とリサーチの結果から、新しいアイディアを極限まで知的に、野心的に生み出していく…

何がすごいのかはこの本だけでは自分にはまだわからない。すごそうってことは嫌ほどわかるけど。

社会・政治・経済のプログラム的な側面から建築の枠組みを拡張している…
世界のあらゆる事象に興味を持ち、この時代の究極的な市民になろうとしている…
グローバル時代における異種の衝突から常に新しいアイディアと変化を求めている…

彼の個々の建築についての凄さはまだわからんにしても、
建築を起点に世界をつかみ、かきまわし、変化させたいという野心には共感できる。というか憧れる。

この本からの収穫は、自分もこういう現代の戦略家になりたかったんだ、ってことに気づけたこと。
シンクタンクやコンサルもコールハースの建築プロセスとはかなり距離が近い存在のよう。

とにかくこの人から学ぶべきことはとてつもなくたくさんありそう。
続いては今月号のユリイカでも読んでみよう!

去年北京に行ったとき、CCTVビルを見といて今更ながらよかったなぁ。

関連記事「ペキマラーの旅
      「最近考えたことについてまとめ的な長文 北京マラソン、CCTV新社屋ビル、レム・コールハース、建築ゼミ、学科内定etc
posted by R23 at 01:34| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月16日

街並みの美学/芦原義信

街並みの美学 (岩波現代文庫)

武蔵野市の中央図書館で借りて読んだ。
日本において都市景観の問題提起・提案をした先駆的な本(1979年刊)、らしい。

日本人は靴をぬいであがる室内を自己の「内部」、屋外を「外部」と区別する強い(無)意識がある。
逆に西洋人には、街の屋外もそこに住む人全体の内部空間として捉える意識が歴史的にある。
街並みにおける美化・人間性の回復には、家の外も「内部」として考える必要がある、、

…という指摘。その通りっすね!と納得せずにには読み進められなかった。

塀で囲んで、自分の家と庭は綺麗にするけど、家の前の道にはかなり無関心とか、
インテリアとか照明とかBGMはかなりお洒落な居酒屋でも、外のネオン看板はセンスなし、とか、

この本から30年経っても、変わってないところはあんまり変わってないように思う。

個人的には日本の住宅・アパート街がもっと楽しいのものになってほしい。
一軒一軒の家の中では密度の濃い生活があるんだろうけど、
それが通りにもにじみでてくるような、生活感のある道・風景が見たい。
道も一辺倒な灰色の直線にする必要はない。(住宅街はむしろ車が通り抜けにくいほうがいい)
高齢者の孤独問題とか、地域の防災力とかにもつながると思うんだけどなぁ。

・・・・

というわけでかなり面白く読めた。いろんな人にオススメしたい!
小石川植物園のまわりの塀は確かになんかおかしいと思う〜
posted by R23 at 11:44| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

あるといいお店

こういうお店があれば街歩きが楽しくなるような〜
日々、なんとなく思っってたことを書いてみる。

・全曲試聴可能なCDショップ
・カフェ型漫喫。漫画の読めるカフェ
・テレビのあるマック

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